コンポストに種を入れても大丈夫?

初めてコンポストで出来た堆肥を使った家庭菜園での実りと、思わぬ珍事件。

自分の経験を通して思う、コンポスト堆肥の注意点と種の生命力についてのまとめ。

目次

コンポスト堆肥で初めての家庭菜園

ミニトマトの苗
実ったミニトマト
ベランダの天井に到達したミニトマト

コンポストを初めて数カ月が経過した今年の春。念願だった家庭菜園をしようと、冬に始めたLFCコンポストから出来た堆肥と、ホームセンターで購入した赤玉小の土を目分量で1対3の割合で混ぜ合わせた。

ホームセンターで買ってきたのは、トマト好きな下の子が選んだ黄色と赤色のミニトマトの苗。もう一つは、上の子が好きなパセリ。せっかくだから、スーパーであまり見かけないイタリアンパセリの種を買い、種から育てることにした。

苗から育てた黄色と赤色のミニトマトは、支柱代わりにしていた割りばしでは間に合わない大きさにあっという間に成長し、数ヶ月後には私の身長を超えるほどに大きくなった。

農業をしている友人からは、脇芽を取った方が管理がしやすいとアドバイスをもらったが、間違えて花の蕾がついている枝を切ってしまって以来、切るのをやめ、自然に放っておいたらどこまで育つかを見守ることにした。

堆肥が効いているのか、水をやる以外は何もしていなかったが、何房も実ったトマトは家庭菜園ならではの完熟状態で収穫出来て、大きさも味も申し分ないものができた。

これには、家族一トマト好きの下の子が両手を上にあげてゆらゆらさせる「トマトダンス」が出るほどに喜んだ。

イタリアンパセリの種
イタリアンパセリの芽

一方、種から育てたイタリアンパセリは、発芽しやすいように一度浸水させた種をパラりと蒔いて、芽が出るのを今か今かと毎日覗き込んでいた。そうしてやっと双葉が顔を出し、大きくなるのを待っていた。

トマトの苗と違って、なかなか大きくならないのをもどかしく感じながらも毎日見守っていたある日、変化が起きた。

パセリにではなく、パセリより数週間遅れで芽を出した「何か」が突如として現れたのだ。

突如として現れた謎の双葉

熟成が完了したLFCコンポスト堆肥

「一体、、、誰?」そう思うのは、明らかにパセリの双葉と似ても似つかない容姿をしている謎の生命体。

艶のある丸みを帯びた葉っぱに、双葉にしてはしっかりした茎を持つその「誰か」は、数本束になって芽を出しているパセリたちがまるでバックダンサーに見える程の存在感であった。

最初は、パセリの生育にも影響を与えかねないと思い、抜こうとも思ったが、その主役級の存在感にむしろその正体を確かめたくなってしまった。

よし、このまま見守ろう。そう決めて数週間するうちにどんどん弱りだすパセリの芽。やはりそうか。生命力にあふれる謎の双葉にどんどん栄養を吸い取られてしまったのだろう。これも弱肉強食なのか。しかし、もう復活する気力もなさそうだ。と、そう思いとうとう弱弱しいパセリを抜いて、小さな鉢はその謎の双葉のワンマンステージとなった。

さて、この双葉、一体どこからきたのやら。芽を出した時から考えてはいたものの、さっぱりわからない。

風に吹かれて、そこら辺の雑草の種が我が家のベランダに舞い込んだのか。はたまた、以前植えていた何かの根っこが残っていて芽を出したのか。買った種に違う種が混入していたのか?いやぁ、どれも違う気がする。

まず、このしっかりした茎は雑草や野菜の類ではなさそうだ。土も、新品の赤玉土しか使っていない。種の混入もないだろう。どれも同じような形と大きさだった。

とすると、、、堆肥?堆肥の中に混じっていた何かの種が発芽したのか⁉考えれば考えるほど、そう思えて仕方ない。しかしこれもまた信じがたいところがあった。

なぜなら、LFCで出来た堆肥は、生ごみの投入をやめて熟成期間に入ってからパセリの種を蒔くまで、3カ月近く経過しており、水分は皆無と言えるほどに乾ききっていたのだ。熟成され、堆肥となったものから芽が出るなんて。

しかし、それを決定つける事件があった。

青虫が教えてくれたその正体

ある日の朝、本葉も出て大きくなってきたその子に水やりしようと覗き込んだ時である。3匹の小さな幼虫がいることに気付く。それに、葉っぱもかじられている。おっと!どこから来たんだい、君たち!?

よく見ると、見覚えのある容姿。これは、実家の庭のレモンの木にいたアゲハチョウの幼虫ではないだろうか。と、いうことは、この子はもしやレモンの木の芽!?

途端に危機感を覚えたのは言うまでもない。だって、まだ小さな葉が5枚しかないのだ。3匹のご飯にしては少なすぎる。きっと何日もしないうちにすべて食べ尽くされてしまう。

しかしながらのんきな私は「ケセラセラ」。なるようにおなりなさい。

農業を生業としているわけではない私は、この狭いベランダで起こる事件を楽しむ余裕だけは持っている。見守ろう。そう決めて何日もしない内に、足りない食糧探しにでも出かけたのか、2匹は姿を消し、残るは一匹となった。しかしこの一匹もすべての葉を食べ尽くしとうとう姿を消したのだ。

翌日、ベランダの扉の下にいるところを発見し、虫かごがないので空き瓶に一時避難させることとなるのだが、餌になりそうなものが見つからない。兎に角何か緑のものをあげてみようと、冷蔵庫にあったレタスの葉をあげてみるが、見向きもしない。

ちょっと小話

アゲハチョウ(ナミアゲハ)はレモンなどの柑橘類の葉を好んで食べる。ミカン科である山椒の葉も大好物。小さな幼虫の時は黒っぽい体で、少し成長すると背中の真ん中あたりに白い筋が現れる。大きくなると鮮やかな黄緑色の体になる。

実家に移住

このままでは餓死してしまう。他に食べてくれそうなものも分からない。

そうだ、確実に食べてくれるであろう葉っぱがある場所がある。実家だ。実家にあるレモンの木に移住させようと思いついた。

そうして、青虫の入った瓶を自転車に載せて、実家の青々と茂るレモンの葉っぱに無事に移住を終えたのである。案の定、その青虫は待ってましたとばかりに、レモンの葉に噛りついた。やはり、あなたはアゲハチョウの幼虫だ。

そこで私は思った。コンポストしたものを堆肥として使う予定でいる場合、種を入れても大丈夫なのかと。

種の生命力に思うこと

私のように家庭菜園を気軽に楽しむ目的ならば、思わぬ発芽があっても、ワクワクしながら見守っていられるかもしれない。

しかし、コンポストでできた堆肥を回収して誰かの畑などに提供する場合は、気を付けるべき点なのではないかと考えた。

コンポストをしている人の中でもかぼちゃの種が発芽したという話はよく耳にするが、かぼちゃに限らず、硬い殻で覆われているような種は特に注意した方が良いように思われる。

堆肥は、生ごみが十分分解されたのちに熟成期間を経てようやく完成する。しかし、種の生命力というのは大したもので、分解されて堆肥となるものもあれば、運よく「種のまま」でいるものもあることが、この一件で分かったのだ。

まとめと対処法

この経験から言えることは、堆肥として使う目的でコンポストをしている場合は、種を入れるときに十分な注意が必要があるということだ。特に自家用ではなく誰かに譲る場合は種が生きている状態ではないことが重要だ。

万が一コンポスト内で生き残った種が発芽してしまうと、本来育てようとしていたものの生育に影響を与えかねない。

決して種をコンポストに入れられないわけではないが、コンポストに入れる前に種として機能しない状態にしておくと安心だろう。

対処法としては以下の方法が有効と思われる。

  • 加熱する ⇨ 茹でる、焼く。あるいは電子レンジで加熱する。
  • 細かく切り刻む

この出来事以来、自家用として消費しきれない堆肥のできるコンポストへの投入物、取り分け「硬い種」は、加熱処理を行うようにしている。

自分の家で出来た堆肥の行く先を想像すると、堆肥を作る自分の手も、どこか慎重さと責任を感じるようになってくる。

今回のこの気付きが、堆肥を有効的に、尚且つ安心して使っていただく循環を促すための心がけにも繋がるように感じたのであった。

この記事のライターはKae B

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