ジューンベリーに訪れる来客の魅せる自然の循環

その名の通り6月に真っ赤な実を結ぶジューンベリーという植物をご存知でしょうか。

数年前にこの木を植えた我が家。 すると鳥たち(とりわけすずめ)がこの実が大好物で毎日のように食べにくることがわかったのです。

この記事では鳥の行動を通して見えた庭木のお話についてまとめました。

目次

ジューンベリーとは

ジューンベリーの木
細い枝が特徴のジューンベリー

ブルーベリーやワイルドベリーはよく聞くけどジューンベリーは聞いたことがないという方もいるかもしれません。

ジューンベリーは春に白い花を咲かせ、6月に甘酸っぱい実をつける果樹のひとつ。果物としてあまり知られていないのは、収穫から完熟までの期間が短く、すぐに熟れてしまう実だから、とのこと。
口にできるのは庭木がある家の特権といったところが現状。

とはいえ、落葉性の小高木であり、黄緑色の薄い葉はやさしく風にそよぎ、人気の庭木でもあるため、家でジューンベリーを摘んだことがあるという人は案外少なくないかもしれません。

ところが近年、ジューンベリーの庭木としての人気に陰りを落とす噂もある。どうやらその実を狙って木の周辺を荒らす来客がその原因のひとつとも言えるそう。

ジューンベリーへの来客

鳥に突かれたジューンベリーの実

ジューンベリーへの来客は小さな小鳥、主には『すずめ』です。枝が細いジューンベリーは大きな鳥が留まるには心許無く、すずめほどの大きさの鳥が、他の鳥に邪魔されることなく食事ができる稀な果樹なのかもしれません。

さて、6月になるとこの木はジューンベリーという名の由来通り、実を赤い実をつけます。成熟は鮮やかな赤色からもう少し時間を置き、赤黒くなった頃、酸味が取れ非常に美味しく食べられる頃合いがこの完熟の赤黒い実なのですが、すずめ達が好むのは、このちょっと手前の透き通るような色の時期。

小学生の娘はジューンベリーが大好きで毎年すずめとと競争するように実をつまんでいるほど。

よくよく彼らを観察していると、面白い動きが目に映る。

すずめは、木の枝からジューンベリーを咥えて飛び立つと、赤い実を側の道路に一度置き、そこからさらにつついて食べているように見受けられます。

まぁジューンベリーの下はすずめたちの潰れた食べ散らかしが盛大に散らかっている様子。

庭木として歓迎されなくなっている理由がこれです。

とはいえジューンベリーは我が家のご近所では大人気、我が家を含め数軒、木の下はすずめの食べ散らかしがたくさん!アスファルトの掃除に困っているようなお話も耳にしました。

だけどよくよく観察するとまた違った側面が見えてきたのです。

自然の中のジューンベリー

道路に落ちたジューンベリーの実

やれやれ、なかなか綺麗には食べてくれないものね、なんて思っていた私。ふと、木の根元、花壇の土の上にも目をやると、気が付かなかっただけで、アスファルトと同じように、すずめの散らかした実が同じように置かれていたのです。

道路に落ちたジューンベリーの種
よくよく見ると露出した種が無数に道路に落ちている

それもさらによくよく見ると、どうやらすずめたちは『種』と軸を置き土産に残して、実の部分だけを食べているようなのです。

すずめは摘んで飛び立ったあとで、一度床に置き、食べられる部分だけをくちばしで器用に分解しているようなのです。

道路と土の上を見比べて私は気付きました。

汚いと思っていたのは人工物であるアスファルトの上だけで、同じように食べ散らかされている土の上ではジューンベリーはまるであるべくしてそこにあるような、目立たない、というよりも自然の風景、その一コマ。ただそれだけだったのです。

さたには土の上に散らかされた実は、アスファルトの上のようにいつまでも景観を損ねているわけではなく、そこにまた虫達が集まり食事をし、いつの間にか土へと還り、そしてまたジューンベリーの木の養分となっていくことが想像できます。

土の上に落ちたジューンベリーの実
土の上に落ちていたジューンベリー

残された種は6月の雨にあたり、もしかしてその場で芽を出すものもあるかもしれない。(すずめの落とし物も木にとっては、或いは土にとってはありがたいものですものね)

はたまた鳥が遠くに運んで意外なところで新たな芽吹きを果たすかもしれない。

目の前にあったのはただの完璧な自然の循環だったことになんだか胸が熱くなった私。その実を分けてもらっていたのは私たちの方だったのです。

すずめのお役目

もう少し視野を広げるとすずめのお役目が見えてくるような気がします。

すずめの話題でこんなものを見かけました。ジューンベリーだけでなくどうやら日本の主食である稲から、「米を食べる」と嫌がられているという。ところが、すずめが駆除された地域では、害虫が大量発生。なんとすずめがお米とともに、お米の妨げとなる虫もたくさん食べて守ってくれていたというのです。一説にはすずめがいることで稲の収穫量が上がるとも言われているそう。

我が家は田んぼのすぐ脇に立地。向こう数キロ家がないという立地。周りのすずめたちもずいぶんと活発です。

庭のジューンベリーの周りももしかして、木につく害虫をついでに食べてくたり、実を突くついでに目に見えないお役目を全うし、そこに在るべくして共生しているのではないだろうか、そんな風に思えるようにもなりました。

事実、我が家のジューンベリーは植樹から間もないにも関わらず(3年ほど??)今年の6月も沢山の実をつけ、今も青々とした葉が茂り、爽やかに風にそよいでいます。

全てはただの完璧な自然だったのかもしれません。

自然の循環

ジューンベリーと空
実りの時期が終わり空に向かって伸びるジューンベリーの枝

自然の循環とは、多種多様な生物や植物による生態系で、自然が健全な状態で巡ること。

周りが汚れると厄介者扱いされているすずめ、そして庭木として評判を落としているジューンベリーですが、きれいやきたないといった概念を一度脱ぎ捨て、遠くからその木を眺めると、なんとも豊かな気持ちになれる気がするのです。

全てのものは最後は土に還り、また他の命のベッドとなる。『コンポスト』というフィルターを通して見た世界が、今まで見えなかった自然の営みや役割、当たり前に巡る季節に気付かせてくれるよう。

6月の赤い実が魅せる自然との関わりをまた来年の楽しみに。あなたのおうちの近くにはジューンベリー、見つかりますか?そこに集まる小さくて食いしん坊なお掃除やさん『すずめ』にも目を向けてみるとおもしろいかもしれません。

木の成長とともに、この気脇を長く見守り、また来年も赤い実のおこぼれをいただきたいなと思う今年のこぼれ話、最後までお読みいただきありがとうございます。

この記事を書いたのはNICOでした。またね。

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